あらゆる学問を究めてなお満たされない老学者ファウストは、悪魔メフィストフェレスと「魂を賭けた」契約を結びます。「時よとまれ、汝は美しい」と口にした瞬間に魂を渡すという条件のもと、若さを取り戻したファウストは恋愛、権力、古代ギリシャの美へと遍歴を重ねていきます。
第一部は市民少女グレートヒェンとの悲恋、第二部は皇帝の宮廷から古代世界、そして干拓事業へと壮大に展開します。ゲーテはこの作品におよそ60年を費やし、死の直前に完成させました。
青空文庫に収録されているのは森鴎外訳です。軍医総監まで務めた鴎外は、日本におけるドイツ文学紹介の第一人者でもありました。明治期の格調高い日本語で読むファウストは、それ自体が一つの文学作品として味わえます。