物語は、若い事務弁護士ジョナサン・ハーカーがトランシルヴァニアの古城に住むドラキュラ伯爵を訪ねる場面から始まります。日記・手紙・新聞記事・録音記録を積み重ねる「書簡体」の形式で語られ、複数の視点から少しずつ真相が明かされていく構成が、読者に強い臨場感を与えます。
ロンドンに渡った伯爵を追うのは、ハーカーと婚約者ミナ、そしてオランダ人の老学者ヴァン・ヘルシング。ニンニク、十字架、聖餅、杭といった吸血鬼退治の作法の多くは、この作品によって世界に定着しました。
作者ブラム・ストーカー(1847〜1912)はアイルランド・ダブリン生まれ。ロンドンのライシアム劇場の支配人を務めながら執筆しました。ドラキュラ伯爵のモデルには15世紀ワラキア公ヴラド3世(串刺し公)が挙げられることが多く、東欧の吸血鬼伝承と19世紀末ロンドンの不安が重なり合った作品といえます。
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