「江戸川乱歩」というペンネームは、アメリカの作家エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)の名前をもじった言葉遊びです。「エドガー・アラン・ポー」を続けて日本語読みにすると「えどがわ・らんぽ」となり、それをそのまま日本人名らしく筆名にしました。本名は平井太郎(ひらい たろう)です。
エドガー・アラン・ポー(1809〜1849)は、『モルグ街の殺人事件』で世界初の推理小説を書いた「推理小説の父」です。平井太郎は少年時代からポーの作品に親しみ、探偵小説家としてデビューする際、敬愛するその名前を日本語の音に置き換えて自分の筆名としました。「えどがー・あらん・ぽー」→「えどがわ・らんぽ」という音の重なりが由来のすべてで、深い意味は込められていません。
この筆名が初めて使われたのは、デビュー作『二銭銅貨』(1923年・大正12年)を雑誌「新青年」に発表したときです。「乱歩」という字面には「乱れ歩く」という退廃的・怪奇的な響きもあり、のちの『人間椅子』『押絵と旅する男』のような幻想怪奇の作風ともよく合っていました。
本名の平井太郎は1894年(明治27年)に三重県名張町(現・名張市)で生まれ、早稲田大学政治経済学部を卒業。貿易会社員や古本屋などを経て探偵小説家となり、明智小五郎シリーズや少年探偵団シリーズで日本の推理小説の基礎を築きました。
由来となったポーの『黒猫』『モルグ街の殺人事件』は、青空文庫で翻訳を無料で読むことができます。