夏目漱石(1867〜1916)は明治〜大正期の小説家・英文学者。東京生まれで、東京帝国大学英文科を卒業し、英語教師・英文学者を経て38歳で作家デビューしました。
1867年(慶応3年)、江戸の名主の家に五男として生まれました。生後まもなく里子に出され、その後養子に出されるなど幼少期は転々とし、9歳で実家に戻ります。この複雑な生い立ちは、後年の『道草』などに色濃く反映されています。
第一高等中学校を経て東京帝国大学英文科に進学。卒業後は愛媛の松山中学(『坊っちゃん』の舞台)、熊本の第五高等学校で英語を教えました。1900年に文部省の命でイギリスに留学しますが、ロンドンでの孤独な研究生活で神経を病み、2年で帰国します。
帰国後は東京帝国大学で英文学を講じながら、1905年に『吾輩は猫である』を発表して作家デビュー。1907年に大学を辞して朝日新聞社に入社し、以後は新聞連載小説を主戦場としました。晩年は胃潰瘍に苦しみ、1916年(大正5年)に49歳で死去。絶筆となった『明暗』は未完のまま残されています。
「則天去私(天に則り私を去る)」を晩年の理想に掲げ、人間のエゴイズムと孤独をどこまでも見つめ続けた作家でした。門下からは芥川龍之介、寺田寅彦、内田百閒ら多くの俊英が育っています。