夏目漱石のデビュー作(処女小説)は『吾輩は猫である』です。1905年(明治38年)、漱石が38歳のときの作品です。
『吾輩は猫である』は、正岡子規が創刊した俳句雑誌「ホトトギス」の1905年1月号に発表されました。当初は一回きりの読み切りの予定でしたが、飼い猫の目を通して人間社会を辛辣に風刺する筆致が評判を呼び、翌年8月まで連載が続きます。「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」という冒頭は、日本文学でもっとも有名な書き出しのひとつです。
この成功で英語教師だった漱石は一躍人気作家となり、翌1906年には『坊っちゃん』『草枕』を発表。1907年に東京帝国大学の職を辞して朝日新聞社に入社し、専業作家として『三四郎』『それから』『門』の前期三部作、『彼岸過迄』『行人』『こゝろ』の後期三部作を書き継ぎました。
デビューが38歳と遅かったにもかかわらず、49歳で亡くなるまでのわずか十年ほどで近代日本文学の骨格をつくった作家といえます。『吾輩は猫である』は青空文庫で全文を無料で読むことができます。