出典:青空文庫の図書カード
物語は、冬の雪の日、顔を包帯で覆い黒眼鏡をかけた奇妙な男グリフィンが、イングランドの田舎町の宿屋に現れる場面から始まります。彼は光の屈折率を操作して物体を見えなくする技術を完成させた科学者で、自分自身を実験台にしましたが、元の姿に戻る方法を見つけられずにいました。
透明になれば何でもできるという万能感は、やがて盗みや暴力へと向かい、グリフィンは追われる身となります。便利な能力が人間をどう変えてしまうかという主題は、後の多くのSF・映画に受け継がれました。
作者のH・G・ウェルズ(1866〜1946)は、『タイムマシン』『宇宙戦争』などで知られる「SFの父」の一人です。青空文庫に収録されているのは海野十三の訳で、海野は戦前の日本で空想科学小説を牽引した作家でもあります。