5年ぶりにパリから領地に帰ってきた女地主ラネーフスカヤ夫人を待っていたのは、借金のかたに競売にかけられようとしている「桜の園」でした。農奴の子から成功した商人ロパーヒンは、園を切り開いて別荘地にすれば助かると提案しますが、夫人たちは決断できないまま時間が過ぎていきます。
古い貴族の世界が静かに終わり、新しい時代が訪れる様子を、悲劇ではなく「喜劇」として描いたところにチェーホフの特徴があります。ラストで響く斧の音は、あまりにも有名な場面です。
作者のアントン・チェーホフ(1860〜1904)は医師でもあった作家で、『かもめ』『三人姉妹』『ワーニャ伯父さん』と並ぶ四大戯曲の一つがこの作品です。1904年にモスクワ芸術座で初演されました。青空文庫には神西清の翻訳が収録されています。